超巨大ドローンをつくってみた!(その3)

製作開始から1ヶ月半、毎日深夜までの作業! テンションは上がるが、肉体的には疲労困憊!といった状況でいよいよ、空撮用ドローンとしては世界最大級の機体の初フライトの日がやってまいりました!

フライト場所はいつもの我が師匠の本拠地である、埼玉県西部の某畑。

いつも新機種初フライトの度に訪れる、不安感と喜びが入り混じった!何ともいえない緊張状態! まして今回はこれまでにない超大型機!! しかも主要パーツ以外は大部分が手作り! もう心臓バクバクです。。

なにせ巨体なので、移動時にはプロペラはすべて外し、現地で一本一本取付けなければなりません。

プロペラを8本しっかりと締め付けたら、機体各所の飛行前点検!

移動中の振動によるネジの緩み・フレームの歪みから始まり、モーターや脚等可動部の点検・配線の緩み・バッテリーの固定具合・バッテリープラグの点検と大型機は各所の飛行前点検に時間が掛かります!

機体には問題がありません!

フライトコンピューターの各パラメータは事前にすべて設定済みですが、念のためもう一度PCを繋ぎ、二人で一つ一つ声を出して再確認します。

コンピューターにも問題ありません!

PCからのUSBケーブルを外すと機体のコンディションを表すLEDが明るく点滅します。飛行可を示す紫色! 問題ありません。

初フライトのプロポのスティックを握るのはやはり師匠です。

ジャイロもGPSも付いてないエンジンヘリから20年以上の操縦歴をもつ師匠とまだ数年の私では、操縦そのものの技量もさることながら、飛行中の機体の微妙な音や振動・ふらつき等から機体の調子を判断したり、異常時の対処法もその経験値から正直まったく比較になりません!

ただ、その大型産業ヘリで鍛えた師匠ですら、ドローンでは最大級のこの機体には慎重な表情で望んでいます。

現場到着から1時間以上! いよいよフライトです!

通常離陸時、我々は大型機のS1000で3m程度機体から離れますが、今回はそのパワー感、威圧感から自然と5m以上離れてしまいます(笑)

スティックを起動位置に持っていくと「ヒューン、ヒュルヒュル」と今まで聞いた事の無い、大きなものが風を切る様な存在感のある音を立ててプロペラが回りだしました。

徐々にその回転数を上げてゆくと、その風切り音に重低音が加わります。

しかし、師匠はその音で様子を見ているようで回転数を上げたり下げたりを繰り返し、中々揚げようとしません。「何を見てるんですか?」と聞くと「各ペラが均等に回っているかを見てるんだ!」「事務所でペラなしで回しても、実際に負荷が掛かるとモーターによってバラつきがある時がある」らしく、飛ばしてからそれが解ってもあとのまつり。即墜落に至るとの事! 慎重です。。

一分程アイドリングの後、「じゃー揚げるよ!」と再びスロットルを上げてゆくと、「キーーン、ヒュルヒュルヒュル」とモーター音と低い風切り音が響きわたり、なんか子供の頃乗ったYS11の様なプロペラ機に近い飛行音です、、

ついに浮き上がった巨体!

意外だったのが、回転数の割りにフワッとすぐに機体が浮き上がること!

元々、KV値が170という低回転型のモーターなので、回転数だけじゃなく大型ペラと組み合わせてトルクで飛ばすというモノらしい。

ただ、師匠は高さ1m程度しか高度を上げません。

位置も離陸した畦道上から他へ動かしません。

「初回は何かあったらすぐに降ろせる位置にしか飛ばさない」との事、確かにこれ以上揚げたり畑のほうへ飛ばしたら、もし不調が出ても無傷で降ろすのは無理だと納得!

早く、「高く遠くへ」飛ばしたいとの気持ちは暫くお預けしなしと。。

 

計算上、15分は飛ばせる筈ですが、3分程飛ばして着地。すぐにモーターやアンプ、バッテリーを触り、加熱具合を診ます。それぞれ全部が均等の熱さになっているか?周辺のケーブルも加熱していないか?等で、異常を確かめます。

異常が無ければ、今度は倍の6分飛ばして、加熱具合を確かめます。

大丈夫であれば計算上のバッテリー時間一杯まで飛ばして、今日は終了です!

すでに、一回目のフライトから改善すべき点が見つかり、今日はこれ以上飛ばさない方が良いとの結論です。

その改善点とは? また次回。