空撮現場リポート#1 西武鉄道「レストラン列車」を空撮する!

7月15日、西武鉄道がこの春から運行している「レストラン列車」を空撮致しました!

「旅するレストラン 52席の至福」というキャッチコピーで季節の美味しい料理を味わいながら西武線の代表的観光地である秩父に向う、土日・祝日のみ一日一往復している電車です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<西武鉄道様サイトより出典>

 

 

依頼元はいつも仕事を戴いている鉄道モノDVDを出版している会社様。

この会社様のご依頼で、これまで北陸新幹線開業時・東北新幹線・北海道新幹線開業時・寝台特急カシオペアのラストラン時と空撮して来ましたが、今回がまたハードルが高いんです!

 

何故かというと、この列車は一日一往復のみ! しかも特別運行列車の為、途中駅にほとんど止まらず、ネットで調べても池袋・新宿駅と西武秩父駅の発着時刻しか発表されていません。その為撮影ポイントをいつ通過するのかが分かりづらいのです! 他の列車の所要時間でおおよそ通過時刻が分かるんじゃー?と思うかもしれませんが、なんとこの列車、池袋~秩父間を3時間近くかけて走るんです!

通常の特急レッドアローでも1時間20分程度、それを3時間かけて走る! でも他の電車も運行中な訳だから、そうそうノロノロ走る事も出来ないだろうし、途中駅で何度か長時間停車しフルコース料理に合わせゆっくりと目的地に向うようです。

これまでも、私たちはこの鉄道空撮特有の問題に度々立ち向かって参りました。。

北海道新幹線の空撮の際はDVD発売日の関係で、開業前の試運転列車を狙いましたが、これが一日4往復のみで、ダイヤは一般には非公開。ご監修戴いているJR北海道さんから戴いたダイヤ情報を元に道内区間の最低4箇所以上を1日半で撮影して欲しいというタイトな要望。撮影地間の移動は事前に コースを十分調べておいたので、時間内で移動できたが、予想外だった問題は試運転列車の為、ダイヤどおりに列車が来なかったのです!

ご存知の通り、ドローンの一回の飛行可能時間は10~18分程度!小型機インスパイアーワンでしたので、実飛行時間は12~13分といったところ。駅間では時速200km以上で新幹線は走って来ますので、列車が見えてから上げては到底間に合いません。通過予定時間の2~3分前に上げますので、定刻時点で残り寿命10分なわけです。しかし新幹線は営業運転に向け、各種の試験や確認をしながら運行していたようで、通過時刻が15~20分も遅れたりでほとんど定刻に来ませんでした!

その為、バッテリー残が半分を切ってくるとどのタイミングで降ろすのか?ということでパイロットの頭の中は一杯になります。。降ろした途端電車がやってくると、もうその電車は撮影出来ません。朝から夕方までの4往復でもチャンスは8回、それを初めて踏む土地で場所を車移動しながら、どれ位遅れてどれ位のスピードで現場に来るのか解からない電車を狙う緊張感というのはナカナカのものです・・幸いこの時は遅れて来た電車も逃さずにすべて撮りきることが出来ました!

この北海道新幹線で懲りた経験があるので、今回は出版元に頼み、西武鉄道様から通過する途中区間の詳細な運行ダイヤを取り寄せて戴きました。。

前置きが長くなりましたが、今回は止まらない途中駅通過時刻表という強力な武器を手に入れた我々は、いざ現場に出動するのでありました!!

事前にグーグルアースで絞った今回のメイン候補地は飯能~秩父間の正丸峠を挟んで深い山あいを走る区間の3箇所、予備の候補地としてもう2箇所もリストアップ。

この会社様の仕事で面白いところは筋金入り鉄道好きの社長様から「今回の路線の一番のハイライトはこの辺だよー」ってわずかなヒントのみの提示で、あとはどこでどう撮るかは我々にすべて任されているんです! ロケハンに行く予算も無いので、ネット情報やグーグルアースを駆使して、現地の風景を想像しながらポイントを絞って行くこの作業がやってみるとまた楽しいんですよ~! そして、現地で飛ばしてみてグーグルのCG以上に良い景色だったりすると、また感激!!テンションが俄然上がってしまいます。。

撮影数日前になって、作品の企画が変わったらしく「特急レッドアロー号と横浜中華街から直通運転しているSトレインも撮って!」とまたまたてんこ盛りのオーダー。各列車をそれぞれ最低2カット、計6カットを場所を変え1日で撮らなければなりません! どこでどの列車をとロケスケを考えるのに半日以上、出来上がったスケジュールを元に都内の出発時間を割り出します。

そして、空撮機材の準備!

バッテリー本数の割り出し、満充電確認、機体の点検、モニター周りの組立、表示用タブレットの充電、収録メディアの確認、小物類の忘れがないかの確認、資料の再確認。そして大事な天候の確認と明日のメンバーへの連絡と多岐に渡ります。

 

 

 

 

 

 

 

インスパイアーワンの標準的装備一式

 

業務としての撮影にとっては、どれか一つでも欠けると撮影という仕事は上手くいかないものです!

機材もどれか一つ忘れただけで現場に着いてから「撮れない」といった重大な問題に直面する事を若い見習いの頃から私は痛いほど味わって来ました・・その間撮影現場は中断し、先輩に怒鳴られ電車で取りに戻ったり、タクシーで現場まで届けてもらったり、、プロでやっておられる方々は皆、そんな苦い経験を必ずやしてると思います。

 

 

 

 

 

 

 

そして当日。朝5:40高田馬場の会社出発。

最初の撮影ポイントの武蔵横手駅付近に8:00着で8:50頃には狙う電車が通過予定・・が梅雨明け青空の最初の土曜日! 関越道の下りは所沢あたりからすでにノロノロ走行となり、なかなか進みません。。圏央道狭山日高ICで下りる予定でしたが、川越までもなかなかたどり着けずイライラが募ります、、若い頃埼玉西部に住んでいた時期があり土地勘は有るので、川越ICで下りることを決断、、この時点ですでに7時を回っており、下道を急ぎます!

撮影は朝イチつまづくと、その日一日影響する事が良くあるので、とにかく現場にはオンタイムで着きたいのです! 急いでも現場到着は15分遅れの8:15。即グーグルで決めた飛行コースを目視で確認、安全のため線路との距離、電線等障害物や通信障害になる電波塔は無いか、民家はどことどこにあるか、付近の道路の交通量はどれくらいか等を冷静にすばやく見極め、ベース位置(自分達の飛ばす拠点)を決めます。

 

 

 

 

<飛行コース全体を見渡せる位置を選びそこにベースを置く事が重要>

 

 

 

機体・プロポを組立て電源オン! 立ち上がったら、パイロットはタブレットで飛行重要設定項目の再確認、カメラマンはカメラにメディアを入れ、カメラを取り付け基本フォーマットを確認・また狙いに合った露出やトーン・色味にする為、詳細設定やレンズフィルターを付け替えます。

ここまでやっているともう20分くらい経過。すべてお互いに問題無い事を確認後、あと電車まで15分あるので、本番の動きを確認する為にテストフライト! 70m先のスタート位置まで機体を送り、準備中に通った電車を良く観察していたので、想定される電車のスピードをイメージして「3.2.1スタート!」と掛け声を掛け、並走スタート、程よい位置まで来たら電車から離れて行き、ゆっくり高度をあげ、手前を流れる渓流の川面を入れ込みながらさらに高度を上げ、キメは山あいを流れる高麗川と並ぶ線路、その線路は画面の奥にカーブし電車は小さくなり消えてゆくという20秒ほどのカット。

今日の相棒(カメラマン)はこれまで鉄道モノを共に多数やってきた広瀬さんなので、久しぶりのペアですが、一回目からバッチリ呼吸が合います~! 「じゃ~このペースで~!」と思わずにんまりし、機体を下ろし、10分後の本番までスタンバイです。。

本当は手前の駅で連絡係がいて「今、駅通過!」と連絡が入るとそれから飛ばすので、バッテリも無駄がなくなりますが、、予算も少ないため人員を増やすのは難しいところです。。

本日一発目の遥々横浜からやってきたSトレインは定刻通り、夏空の広がる撮影地点を最近の軽量車体の軽やかな走行音と共に走り抜けてゆき、無事1カット目撮影終了です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永年この撮影業に携わっていると、動物的嗅覚というか、初めて訪れた場所でも「なんかあっちの山の裏側から見たら良い撮影ポイントなんじゃない?!」といったヒラメキが良く出るものです。今回も電車ごとの撮影ポイントは全て事前にリストアップして来てますが、グーグルアースで良くても実際に現地に立つと「イマイチ」な事も多々有るので、それより良いポイントは無いか?と現場に入っても常に貪欲にイメージを探すことは少しでも良い作品にする為には重要です。。実際、この1カット目を撮り終えてから、トイレに行く為に脇道を歩いて入ったところで「ん~?この道はこの先河原に下りていってるな~・・河原に下りれるって事はあの電車の鉄橋の反対側まで行けるってこと!?」と思いつき相棒が待ってることも忘れ、ヒタヒタと歩き進むと、そこには予想外の絶景ポイントが飛ばしてくれと言わんばかりに、静かにたたずんでいたのでした!

また次回!