空撮現場リポート(号外速報) 京都五山送り火を空撮する! その1

8月16日、京都の夏の夜を彩る一大イベント「五山送り火」をKBS京都放送様の依頼で生放送空撮致しました。

                                                        <KBS様放送番組より引用>

今回空撮を行ったのは、五山の一つ「鳥居形」の山(曼荼羅山)。場所によっては多くの見物客が繰り出すイベントである為、安全上、離陸地点の麓から山までのドローン飛行コース直下に見物客など人が立ち入らない場所というのが警備当局の許可条件でして、今回は「京都五山送り火」点火中の初のドローン中継ということもあり、最も安全コースが確保し易い「鳥居形」の曼荼羅山に決定致しました。

当日は京都の街全体が五山送り火に合わせ、日常よりライトダウンするとの事で、松明の灯かりのみの山中をある程度明るく撮影する必要がある為、担当ディレクターさんと昨年の放送映像を見ながら検討。先方の要望として、山全体のロングから鳥居形のフルサイズまでの移動ショットはもちろん、地上カメラからは遠くて撮れない点火の際の山腹の作業の方々の様子を空撮でアップで見せられないか? という事で、カメラはフルサイズセンサーで超高感度でも低ノイズで定評のあるソニーα7SⅡ、レンズはギアモーターでズームリモート可能で5倍近いズーム比を持つソニーFE PZ28-135mmF4を使用、また点火前と点火後で露出が大きく違う事を想定し、アイリス(絞り)もリモート出来るようもう一つギアモーターを装備。

ドローン機体は米・Freefly社の大型カメラ空撮専用ドローンALTA6にジンバル(防振装置)Freefly Movi-M10を搭載し今回の空撮に挑みました。

今回は事前機材準備に時間を費やしました。

一番の難点だったのが、レンズが4k対応の大口径ズームの為、重量が1.3kgほど有り、それに一つ数百グラムのギアモーターを二つ付けた場合、カメラ本体が一眼タイプと軽い為、前後バランスがそのままでは取れない事でした。触ったことがある方はご存知だと思いますが、ジンバルは前後左右上下の各バランスが取れていないと本来の防振機能をフルに発揮しません。

深夜まで試行錯誤の末、リモート受信機パーツをジンバル下部重心点に取り付ける事を閃き、結果何とかバランスを保持することに成功! 事なきを得ます。

<メーカー公表の重量制限値一覧>

もう一つの問題点が当初この装備で総重量12.8kgとドローンALTA6のペイロード(搭載可能重量)が一杯いっぱいだった事!

本来この機種は13.6kgの総重量まで安全飛行出ますが、夏場30度を超えたり、高地を飛ばす場合、モーター効率が落ちたり空気密度が低くなるので、気温30度として700gダウンの12.9kg、40度では12.5kgまで落ちます。

夏の京都は35度前後が想定されるので、安全をみて12.5kg以内に留めたいと悩みますが、装備品はどれも今回のミッションを達成する上で必要なもの、、数時間考えた上に出たアイディアがジンバルとカメラ部駆動用に別々に搭載していた2つのバッテリーを1つに纏めて、バッテリー1つ分約200gを浮かせるという作戦! 消費電力を計算すると纏めても1時間以上は持つことが分かり、これしかないと配線を一度バラし一本から4分配するケーブルを作る為、半田付け作業。出来たモノを装着して駆動検証、大丈夫1時間は持ちます!

他にも今回のミッションでは機能しない無駄な装備パーツを極力取り外し100gの軽量化、合計で300gの軽量化で無事12.5kgという目標値を達成しました!

 

今回の他の機材としましては、先方中継機器(今回は携帯LTE回線を使ったTV-Uを使用)にHD-SDIで出力する為のHDMI→HD-SDIコンバーター、映像の細部までチェック出来るよう15インチモニター、インカム類、雨対策用テント、夜間照明、予備機のインスパイアーワン+X5カメラ、インスパイアーワン使用時の60p→60i変換コンバーター、予備の各充電器等、通常の空撮よりかなり多い機材となってしまいました。

 

 

 

<大型機空撮の映像受信ベース>

 

<人員4人と共にハイエースに積みきれるか?という機材量>

もう一つ、今回の送り火で直前まで心配だったのが「天気」です。KBSの方から「毎年この季節は夕方になると雨が降って本番前に何とか上がる事が多いんです!」と聞いていて、10日前から現地予報をチェックしておりましたが、その時間帯の予報が毎日「雨」「小雨」「曇り」を繰り返し、、

前日予報で「小雨」!ウムム・・こりゃ少しは降ると思った方がいいな!と判断し、雨対策用品準備と大型機は搭載カメラがむき出しで雨に弱いので、予備機は大型機をやめ、小型機インスパイアーワン+高感度カメラX5搭載に変更。インスパイアは雨に弱い電気配線の露出部分が少なく小雨での飛行実績もあるのでカメラ感度はα7より落ちますが今回の予備機には最適との判断です。

4日丸々掛かった出発準備も前日夜21時にはすべて終わり、車のガソリンを満タンにし早めの就寝としました。

当日は会社を6:30出発。

途中埼玉方面のメンバーを拾って圏央道から新東名・新名神と高速会社の予測では渋滞を入れても6H30分との予測で、15時集合まで8時間半あるので食事休憩入れても十分だろうと読んでいたのですが、お盆休みの真っ只中!全体的にクルマの流れが遅く、普段混まない所で混んでいたり、名古屋付近で大きな渋滞にハマったり、また食事のパーキングも長蛇の列!と結果、現場着が40分送れとなってしまいました。所要時間予測を大きく外れ9時間超!

到着後、すでに回線チェック時間を過ぎていたので、急ぎ映像だけ送れるようカメラ・映像送受信部だけを起動し先方にSDIでお渡しします。それと平行しテント設営・電源をお寺さんから引き込み・作業灯の設置・ベース機器の設営・機体の調整に4人でそれぞれ手分けして望みます。

今回当初は弊社人員は3人(操縦士・カメラマン・カメラ補助兼安全要員)としておりましたが、雨予想が強くなったのと、見物客が予想以上に多い場合の飛行直下にお客さんが入らないよう見守る安全要員で急遽前日にもう一人増やし4人体制としました。

一時間後には飛行テスト。到着後、機体各所とジンバル各所をくまなくチェックし、長距離移動でのネジや可動部・接続ケーブルの緩み等が必ずあるので、適宜調整! またタブレットで機体アプリを立ち上げて飛行上重要な諸設定を二人で声出し確認。すべてOKなことを確認しテストフライトに入ります。

いつもの事ですが、グーグルアースで数パターンの想定高度や位置を事前に出して、良いアングルや移動コースを割り出してはいても、実際現地に入ると、CGには無かった高い木々や障害物があって見通しが利かなかったり、それらが絵に入って思ったよりも良い絵で無かったりということが良くあるので、現場ではまず上げてみてロング・ミドルの良く見える位置、ヨリの良い位置、旋回時のスタート位置と終わり位置、各位置間の移動スピードはどれ位が良いか等を操縦担当とカメラマンが双方で確かめます。

現場にいる先方のディレクターさんも一緒にモニターを覗き込み、私達と共にアングル・動きの確認をし、同時に局のサブで待機している中継全体を取仕切るディレクターさんも中継映像を通して確認して頂き、要望がある場合にはインカムを通してリアルタイムに話してきます。

約八分間という一回の飛行可能時間いっぱいまで、諸事項を互いに確認して着陸。

着陸後、あらためてディレクターさん・制作スタッフと空撮チームのオールスタッフで台本に沿って時間軸で放送に乗る空撮の1シーンごとの詳細の確認を行います。

各カットの地上カメラを含めた構成上の役割・効果的に見せるためのドローンのスタート位置・移動スピード・カメラの振り・キメの位置・そして今回の新兵器「ズーム」のタイミングとキメサイズ等で全員が理解共有していないと本番でチグハグに成りかねません。。

打合せがすべて終わった所で小休止! 放送開始までちょうど一時間前です。制作さんから飲み物と軽食の差し入れを頂き、おのおの休みながら何か疑問点があれば互いに再確認したり、おさらいしたり、機体の最終チェックをしたり・各バッテリを本番用に換えたりして、いざ本番に望みます。。

本番の様子は次回!!