空撮現場リポート(号外速報) 京都五山送り火を空撮する! その2

辺り一面も暗くなり、いよいよ「京都五山送り火」生放送の時間が迫って来ます。山の上には送り火の種火がすでに灯されております。

今回、約二時間の生放送で台本上、ドローンでの空撮シーンは4回。

毎度感じることですが、約二時間の生放送って長いように感じられますが、スタッフにとってはその緊張感からか、始ってしまうとホントあっという間に過ぎて行きます。ですから収録番組では100%力を出せても、生では持ってる力の7・8割で留まってしまうという事をこれまで多々経験しており、一発勝負のタイミングでいかに冷静に狙いの絵をモノにしていくか? という為に撮影屋は全神経を集中させます!

そして、いよいよ本番!

19:00番組スタート  歴史ある五山送り火に相応しい美しいオープニングCGタイトルが流れ、司会者とゲスト・解説者のスタジオ部分が始ります。番組前半は五山各山々の送り火を守る、各保存会の皆様の当日までの準備風景やエピソードと鴨川中州等見物客で賑わう各中継ポイントの今の様子を伝え、その後五山各山の紹介VTRに入ります。

我々の空撮ベースでもオンエアの映像が見れたので、大変情緒ある番組のイメージをなるべく自己に取り入れようと、空き時間はモニターに見入っておりました。

19:32 一回目のCM前Qカット、5秒という時間の中で点火前の薄暗闇の山でドローンらしい絵を作る!なかなか難しいです。。少々移動したところで暗闇の中ではその移動感が出ません、かといって町並みから振るほどの尺もありません、移動感が出るよう作業の方々がいる山肌に近づけるのは、点火前の暗闇の今はリスクが高過ぎます! 検討の結果、「鳥居形」正面のロング目から「鳥居形」まで寄って行くという安全優先の絵で決定。 無事一回目の絵は終了です。

19:46  二回目のシーンは約1分という今回の中継のドローンカットとしては一番長い尺をドローンだけで撮る(いわゆるワンカメショー)部分です。動きそのものは事前の打合せ・リハーサルフライトで決まってるので良いのですが、難しいのは番組音声にはスタジオの出演者の解説内容やコメントがリアルタイムで流れて来るのでそれを聞きながら、会話のテンポに乗せて絵を作らなければいけない点です! 現地ディレクターさんもインカムでスタジオとやり取りされタイミングの助言をして下さり助かります。

地上カメラではいつもやっている事!ではありますが、今回ドローンチームは機体操縦担当・カメラ担当・そして今回の為にズーム担当と3人で分担しておりますので、カメラ担当が逐一声を出し三人が阿吽の呼吸で動かないと狙ったイメージにはなりません。

そして本番、点火前の山の様子を今回ドローンの離着陸地点としてお借りしている「本願寺」さんの本堂の絵からスタートし上昇しながら曼荼羅山「鳥居形」の正面へ、機体はそこでホバリングのまま今回の「隠し玉!」  ズームレンズで多くの方々が作業している山肌にズームイン。しばし見せた後、ズームアウトし再び「鳥居形」全景へその後、180度ゆっくりパーンして京都市街の美しい夜景へ。という約1分間のカット。 途中、機体からの映像伝送が瞬間少し乱れたのとスタビライザー(カメラ防振装置)が少し縦揺れを起こした以外はほぼ完全な1分間の絵を作ることが出来ました。

<28-135mmズームの本領発揮! 上記写真位置からここまで寄ってもほとんどブレません>

20:20  三回目はいよいよ点火のタイミングです! 絵は山全体のロングから山頂中心に縦・横それぞれ75mに点火される「鳥居形」のフルサイズまで移動。山頂付近で間近に点火作業を狙うハンディカメラと1km程離れた建屋屋上から望遠で狙うカメラの計3台を交互に切替え絵を繋ぎます。太鼓の合図と共に次々と点火される作業の様子を上空からもズームを使い、解かり易いサイズでドローンから狙って行きます。すべての点火が終わったところで、また「鳥居形」全景までズームアウト。

<山頂ハンディカメラの迫力の松明点火シーン>

<1km程離れた建屋屋上からの望遠カット>

四回目はすべて点火した「鳥居形」を下から再び山肌を上昇しながら、鳥居形が一番美しく見える正面位置までの完成カット。すべて狙い通りに順調に終了。

今回のドローン映像は同時収録も依頼されておりましたので、中継映像がドローンから地上カメラに下りてから、残った飛行可能時間で再び点火後の鳥居形を町並みからパーン、鳥居形中心に旋回フォロー等数カット収録。

着陸後、旋回カットが非常に良かったとのお言葉を頂き、台本には無いが番組のエンド部でもう一度中継に乗るかもしれないので、その時は旋回を!ということで、バッテリーをラスト一回分に換え再びその時間まで、スタンバイ!

 

そして20:51頃エンディング。ゆったり厳かな音楽が流れるなか、スタジオでの「五山送り火はこの先一年、人々が平穏に暮らせる事を願う意味が込められているんですね・・」という会話で締めくくられ、その半ばから1分強に渡り再び真っ赤に燃える「鳥居形」の旋回カットを載せていただきました。(終)

<放送画像はすべてKBS京都放送様の承諾を得て掲載しております>